あぞう接骨院

第1回「痛み」 Pain

「痛み」について

平成23年4月22日,23日(待合室にて)

『痛み』と聞いて好きな人はあまりいないのではないでしょうか。
同じ風邪や虫歯の痛みでも、日中、仕事に追われているときと、夜間に人が寝静まったときとでは感じ方に差があることはよく経験します。また、胃のあたりがチクチク痛む時、精密検査で単なる「胃炎」とわかれば、チクチクは気にならなくなります。交通事故にあうと自分で転んで打ったときにはさほど心配にならない程度の痛みも、周囲の人に「むちうち」が恐ろしいと言われれば、何かとても恐ろしい痛みのように思えてくるのです。

このように痛みの一つ一つの性質として、気分によって非常に影響を受けやすい性質があります。恐怖や不安は痛みを大きくし、反対に他の物事に注意が向くと痛みを忘れます。同じように気分が沈んでいるときは痛みが大きくなり、気分が高揚していて楽しい時は、ほとんどきにならないものです。
このような痛みに対する気分の作用は、当然で珍しくないものなのですが、痛みを訴える当人にはあまり気づかれないようなもののようです。

このようなデータがあります。
我慢できないほどの痛みを訴えているAさん、Bさん、Cさんの三人の患者さまがおります。
この三人の患者さまは、本来は同じ程度の痛み障害を訴えておいでなのですが、Aさん、Bさん、Cさんがそれそれに持っておいでる社会的・精神的因子と生力的因子の割合によって、違った治療アプローチが必要になるという例です。

Aさんは、社会的・精神的因子(普段の日常のストレス)が大きくてこれを取り除けば、しだいに減っていき、最後には何とも感じなくなりました。

Bさんは、社会的・精神的因子にも、生力学的にも原因があり、両方を取り除く必要があり、両方の視点より治療をすることにより良くなっていきました。

Cさんは、生力学的因子(筋肉や関節のケガや変形などによる働きや動きの低下)が大きく、接骨院での西洋医学的に裏付けのある治療が必要となります。そして、治療を続けることで、原因が分かり、その原因を取り除くことでしだいに痛みが感じにくくなっていきます。

このように人によって同じように見える痛みでも、改善の仕方は違うわけです。
共通して言えることは、
「どこにどんな原因があるか?をみつけ、それを取り除けば、当然のことながら、痛みは消えていくのです。

例えば、雨降りに長靴を履かず、サンダルを履いたとします。濡れた原因は、長靴を履かなかったことですね。それに、気付かずに、サンダルを履いたまま「雨にぬれる~!」と苦悩していても、いつまでも雨にぬれることになるわけです。大きな原因に気づくことが大切なんですね。

『痛み』について、色々と申し上げましたが、実は専門的にはあまりよく分かっていないんですね。一つの「痛みの学説」について申し上げます。

『ゲートコントロール説(1965 Melzak,Wall)』 痛みの現象は、2種類の種類の神経線維があり、その興奮(痛みの)の伝達は痛みの通過門でコントロールされるために起こるとされています。すなわち、良い刺激は太い神経線維の興奮により、伝達され、一方、外傷などにより刺激されその興奮が脳に伝わると不快に感じるような細い神経線維の興奮は、太い神経線維の興奮が伝えられている間は、痛みの通過門を通過できません。したがって、痛みを感じることができないという説です。<ウィキペディア フリー百科事典より>


よって、気持ちいい動き(ストレッチや体操、散歩など)、興味あること(畑仕事や友人と美味しいもの食べたりなど)に関心を向ければ、自然と痛みは少なくなるということです。そうやって、痛みを大きくしないようにしながら、その間に治療で痛みの原因を取り除いてしまえば、良いことが山ほど来ますよ。

最後に、病気と健康の区別は、どのように思われるでしょうか?
体調が悪くて病院で検査をしてもらっても数値や写真では原因が分からない場合、どのように考えればよいでしょうか?

世界の各地の色々な医学でそれぞれのとらえ方があります。

ここでは、東洋医学(中医学という)と西洋医学についてご説明いたします。西洋医学では、病気か健康かは線で区切られます。
東洋医学(中医学という)では“未病”という形でとらえます。
この未病も、詳しく言えば5段階に分けられます。(因みにインドのほうでは、7段階の医学もあります。)

この未病の状態を、判断できれば大事に至らないことになりますね。

当院では、目に見える治療のほかに、治りにくくしているこの未病を判断し、症状改善の基礎として併用して対応させて頂いております。

 

のような統計があります。

60才以上の一般の方々対象に、レントゲン撮影したデータについてです。

注意点は、患者でない一般人の方々の約40%以上(男性は20%以上)が関節に変形があったことです。そして変形があったにもかかわらず、80%近くの人は、「痛み」を訴えていないということです。よって『変形=(イコール)痛み』は、なりたたないのです。以前、レントゲン写真で「ここに変形がありますから、これが原因ですね」という言葉を聞かれた方も多いと思いますが、今日では、「ここの変形も、原因の一つですね」になってきたわけです。

さらに例をあげますと・・・
最初に足に原因がありました。その時は、それほど「痛み」というものがありませんでした。(先ほど申し上げましたようにね)
その後、それを治さずに、日常生活をしていると、あちこちが調子悪くいなってきて、ある日腰痛が出て病院にいって、レントゲン上に変形があり(60歳以上で40%以上の人に変形あり)、「これが原因ですね」と診断を受け、痛み止めを頂くわけです。
(現代では、「これが、原因の一つですね」となるわけです。)
多くの腰痛をお持ちの方々は、「痛い場所を診てほしい」と思っています。当然のことなのですが、それで治らない場合は、やはり原因の場所を探して治療する必要があるわけです。
つまり、自分が痛いと思っていない場所にも原因があることが多いのです。


「痛み」を除去するためには

   何の原因因子か?
(力学的?精神的?)

   痛いところだけでなく、他のどこに原因はないか?
(更に言えば、原因は痛いところにはなく、他の所に在ることに気づけるかどうう?)

   日常の行為にどんな動きがあるか?
無意識にしている動きの癖に気づけるか
どうか?)

   痛みを強くする食生活、ライフスタイルになっていないか?
(動物性か?植物性か?/良く噛んでいるか?/睡眠時間の長短?/早寝早起き?/どんな呼吸をしているか?適度な運動の有無?)

   「痛み」に対してどう捉えているか?
(痛みは“脳”が察知して認識するものであり、人によって捉え方が違うと痛みの度合いも違ってくる。

【例】痛みが出るということは、言い換えれば体が正常に反応し合図をくれていることに気づき、感謝をするなど・・。

つまり、「痛み」とは、先ほど申し上げました未病(病気になる前)時に教えてくれる体のサインのようなものなのです。それが、過敏な人、そうでない人(言いかえれば、脳が「痛み」を過大評価する人としない人)がいるわけです。

※①②③④⑤を一つ一つ改善していけば、おのずと改善に向かうでしょう。そのように体は創られております。



編集後記

 現在、最先端の技術により、さまざまなことが解明されてきております。しかし、脳や遺伝子においては、科学的には2~3%しか解明できておりません。解明できてはいないですが、ある条件が揃った時、遺伝子も脳も働き始めることが確認されております。古来より、昔の方々は、それを色々な形で伝えてきました。もし、間違い情報であれば、すぐ消えるはずですね。「火のないところに煙は立たず」の言葉通り、やはり人間の体には、まだまだ打ち秘めた能力があるようです。今日、古人の教えを、今一度見直し難病などを治す医療人の方々が増えてきております。

患者様ご自身も、自分でできることをし始めることで、最大限の治療効果に繋がっていきます。無理せず、焦らず、ご自分の身の回りから、少しずつ見直してみましょう。きっと良いことが山ほど来ると思います。

 

参考文献

図解 腰痛学級第3版 川上俊文 医学書院

『東洋医学で食養生』 著 高橋楊子 特選実用ブックス

変形性膝関節症に対する疫学調査(大森豪 古賀良生ほか)

「生―システム」研究会 著 伊東聖鎬