あぞう接骨院

第2回「呼吸」 Breathing

「呼吸」について

平成23年5月14,17,25(待合室にて)
日常、無意識にされている呼吸には、実はいくつかの種類があります。地域や文化によっていくつもの言い方がありますが、大きく分けますと3つに分けられます。

胸式(きょうしき)呼吸
肋骨だけを上下に動かして、中にある肺をふくらませます。
肋骨は、「鳥カゴ」のようなもの。中の肺も筋肉はなく、風船のようなもの。「鳥かご」と大きく違う点は、軟骨が柔らかく広がりを作って、肺が膨らむスペースをつくれる点。


腹式(ふくしき)呼吸
おなかを前にふくらませて、おなかの空間(腹腔:ふっくう)増やした分、肺を膨らませる呼吸。
どんな方々も、赤ちゃんの頃には、ちゃんと出来ていました。
しかし、大人になるにつれて人間社会の枠に入ることにより、子供のような考え方が出来なくなり、それがしだいにストレスとなり、脳の正常な働きを抑制していったようです。
例えば、学校のテストの点数で比較されたり、社会で業績を比較されたり…。


③逆腹式(ぎゃくふくしき)呼吸
名前は②と同じ「腹式呼吸」ですが、呼吸の際におなかに力を入れます。(実際には、“丹田”という部分で、へその下約910cm)を意識して力を入れます。
すると、本来膨らむはずのおなかが膨らまず、横腹が膨らむことになります。同時に、肋骨が下がります。

良い例が、武道です。柔道、空手、剣道などは、「礼に始まり礼に終わる」日本の精神文化を受け継いでおります。その際、この「逆腹式呼吸」を、重んじております。(一般には“丹田呼吸”と呼ばれています。)

現代人の多くは①の呼吸が多いようです。
理由は、パソコン、携帯電話などの情報が氾濫する社会のため、常に交感神経を働かせていなければならないからです。(※交感神経は、自然の動物たちが敵から身を守る時に働く大切な神経です。でも、これが続くと体が興奮し続け、なかなか休まらず、どんどん病気になったり、ちょっとした怪我も痛みも、なかなか治らないことになるのです。)

②③の呼吸にしていくと、自律神経のもう一つの副交感神経が働き、体をどんどん元の状態に戻していきます。
つまり、「治る」とは、元のバランスを取り戻すことなのです。

一般的に、普段は同じ量を吸って同じ量を吐いています。
これが、交感神経が強く働き過ぎていると、副交感神経が弱くなってきて、吐く量が、吸った量よりも減ってしまいます。(逆の場合もありますが、
現代はこのような場合が非常に多いです。

できれば、②③の呼吸に近づけていきたいものですね。

呼吸は、日ごろ無意識にしておりますので、なかなか気づかないことがほとんどです。
いざ、人から言われて、してみようと思ったときに、「できない」ことに気づく場合が多いです。
実は「たかが呼吸、されど呼吸」なのです。
今、呼吸を意識しなくても、これからの日々を生きていくことは可能です。
しかし、実は大きな盲点でした。
単純に物事をみれば、すぐにわかることでした。

では、申し上げます。
人間の体は、何でできているでしょうか?
本当に単純な質問で、驚かれる方々が多いと思いますが、空気、水、食物ですね。

例えば、一般に食物を食べないでも人間は、一カ月ほどは生きられるそうです。
水を飲まなくても、約1週間は生きられるそうです。
しかし、呼吸をしなかったら、5分ほどで死んでしまいますね。
「何をあたりまえなことを…」と思われた方々も少なくないでしょう。
実は、常識(「あたりまえ」)という言葉は、人間が定義してしまっているのですね。

多くの人々は生まれた時から、「呼吸は、あたりまえにできる」と思って生活されています。
出来なくなった人があまりいないので、常識(「あたりまえ」)にしているのです。

しかし、一旦、それが出来なくなったり、その重要性を気づかされたりした方々は、この常識(「あたりまえ」)と思っていた呼吸を追求したわけです。

「あたりまえ」では、なかったのです。

例えば、赤ん坊の頃ハイハイから、つかまり立ちをして、立って歩くようになった時、ご家族の方々はさぞかし喜ばれたことでしょう。その後大きくなって、小学校などで運動会があったりすると、走る練習をしたりしましたね。
「走る」も「歩く」も同じ人間が与えられた能力ですが、「走る」ほうは練習するのに、「歩く」ほうは、なぜ、練習しないのでしょうか?
不思議ですね。
「歩く」を他人と比較しないからですね。
よって、「走る」と同じように「歩く」も比較をすると、自分の「歩く」が他人と色々違うことに気づかされるわけですね。
「呼吸」も同じで、人それぞれ、全く違います。
それによって、体への酸素量が減ったり、血液の巡りを悪くしたり、筋肉の働きを悪くしたり・・・など多くの症状をもたらすわけです。

このように、日ごろの呼吸の積み重ねで大きく、“寿命”が変わってくるわけです。

今回、②③の呼吸を習いました。できれば、②③の呼吸を身につけて、健康な体を維持して、この世の人生を楽しく有意義にすごしていきたいものですね。


腹式呼吸のコツ

 

1.まず、②の呼吸を練習します。

その際、今、肺の中に在る空気を出せるだけ出しつくします。(口からで良いです。)

    

2. 次に、限界だと思ったら、鼻から大きく息を吸います。

その際、肩を上げてはいけません。(これは、胸式呼吸です。)

 

3. そして、また同じよう吐いていきます。

 

4. 吐く際は、約10~15秒前後、吸う際は約2~3秒を目安に。
個人差がありますので、それぞれの秒数は、ご自分のペースでしてください。
けっして無理はされないでください。
無理は、どんな場合も逆効果になります。

 


編集後記

今回は「呼吸」について、申し上げました。「呼吸」は、ご存知のように酸素を体内に入れて、二酸化炭素を外へだしてくれます。一人の人間の体内には、約60兆個の細胞があります。それらが、休みなく酸素をもらって生きているわけです。彼らは、私たちが「あ~しろ!こ~しろ!」など言わずとも、ちゃんと誰か様の命令の従い、ある時は心臓の筋肉細胞になり心臓を動かし、ある時は、肝臓の細胞になり、解毒作用をしてくれます。また、ある時は、赤血球になって、体の隅々まで酸素を運んでくれますし、ある時は、白血球になって、ウィルスや細菌、ガン細胞など体の取って有害なものを退治してくれます。彼ら、細胞たちも、人間と一緒で、酸素を吸って、水や栄養をもらって私たちの命を保ってくれているわけです。よって、もし呼吸が浅く、体の隅々まで酸素が行き渡らなかったら、当然、細胞たちも死んでいきます。その際、何とか、分裂して生き残ろうとする者も出てきます。
現代科学にて、人間の細胞分裂は、一生涯で約50回と確認されております。(あかちゃんの“へその緒”を用いた実験にて証明済み)知らず知らずに、同級生同士でも、年齢の取り方が違ってくるのは、この「呼吸」も原因の一つにあるわけです。
古人の文献には、呼吸を扱う医療が、インド、中国、日本と数多く残っております。
患者様も、現代の情報があふれているこの世の中で、どれが正しいかどうか判断しかねる時、古人の知恵に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
古人がおっしゃることは、長い間伝えられてきていることですから、たとえ証明は難しくとも、正しいことが多いと思われます。
まず、今できることを無理せず、焦らず、ご自分の身の回りから、少しずつ見直してみましょう。
きっと良いことが山ほど来ると思います。
 

参考文献

イラストでまなぶ生理学 田中越郎 医学書院

100歳だからこそ伝えたいこと 塩谷信男 サンマーク出版

健康太極拳 楊彗 新星出版社

太極拳と呼吸の科学 楊進 雨宮隆太 橋逸郎 ベースボールマガジン社

セロトニン生活のすすめ 有田秀穂 青春出版社