あぞう接骨院

第3回「脳」 Brain

脳について

 

平成23年6月6日、14日、22日(待合室にて)

 人間の脳は3層からなることは、解剖学上解っております。

一層目(一番深いところ)が、脳幹といい爬虫類脳といわれております。生命維持に働く悩です。

例えば、心臓や肺などの臓器を無意識に動かしている働きです。
爬虫類(カメやヘビなど)などは、行動が無意識下で行われています。よって、寒くなれば“日向ぼっこ”して体温を上げて、逆に暑くなれば水にもぐったりすることも無意識下で行い、生命維持のための「体温調節」をしています。
この行動が、生命維持に関するのは、爬虫類(変温動物)が、哺乳類(恒温動物)のように、自力である程度の「体温調節」が出来ないからです。
また、「体温調節」だけに限らず、「捕食」も無意識に行われています。
空腹時に目の前に小さな虫などの餌が飛んでくれば、無意識下で捕まえています。
よって、全ての行動が、自然と密接に関係し無意識下で行動される必要があるわけです。
それが、脳幹での無意識下で行われる生命維持の働きなのです。


ニ層目は、大脳辺縁系といい哺乳類(前期)でもウサギくらいまでの脳です。

この大脳辺縁系には、さまざまな働きがあり、主に、動物が子孫繁栄や縄張り争いなど生き抜いていくために行動を起こす「生理欲求」などを支配しております。
また、生き抜いていくためには「記憶力」もとても必要なので、記憶の脳も含まれております。

例えば、こんな天気には、ここに行けば餌があるとか、この道は以前、狩りをして失敗した場所とか、逆に天敵に襲われた場所とかなど。
この記憶の脳には、「海馬」「扁桃体」などがあり、数々の脳内ホルモン分泌と関係を持って働いております。
一般に、世間で「頭が良い」というのは、この「記憶力」が良いことを指します。
つまり、現在「頭が良い」と言われている方々は、二層目の大脳辺縁系(特に海馬、扁桃体が関与する働き)が発達しているのです。

三層目の大脳新皮質は、哺乳類(後期)の犬以降の進化したサル、オラウータン、ゴリラ、チンパンジーの脳に存在し始め、人間になると急激に大きくなっております。

この脳が、1層目と2層目の脳で行われる働きをバランスよく調節するものです。

余談になりますが、“「記憶力」が良い”というのは、二層目の脳ですから、進化しているわけではないのですね。
言い換えると、“「記憶力」が良い”は、人間の定義したモノサシで、“良い”とされているだけなんですね。
よって、物忘れをしても、それは、脳の自然な反応であり、けっして頭が悪いわけでないのですよ。
「気にしない!気にしない!」(笑)


人間は、集団生活をし、協力して社会を築き上げております。我慢する必要があれば、この③の大脳新皮質が働き、色々な作用を抑制して、「秩序」というものを保っています。しかし、この抑制が強く働き過ぎると、本来の機能をコントロールできなくなり、痛みが出たり、病気になったりするのです。


この抑制の起こる原因が、皆様がよく聞かれる「ストレス」です。
「ストレス」は、大きなものから小さなものまであります。
しかし、「目に見えないもの」ですから、なかなか捉えにくいのが現状ですね。

アメリカのカール・サイモントン医学博士は、数多くの患者様のデータより、「ストレス」を社会的視点から次のように尺度づけています。

(0~100のモノサシで数値化)

≪ストレス尺度(ストレスのものさし)≫

配偶者の死           ・・・・100

離婚              ・・・・・73

刑務所入所           ・・・・・63

家族の死            ・・・・・63

大きなけがや病気        ・・・・・53 

結婚              ・・・・・50

失業・解雇           ・・・・・47

退職              ・・・・・45

職業上の変化(職場移動など)  ・・・・・39

経済上の変化(大金の出費など) ・・・・・38

家族間のトラブル        ・・・・・29

配偶者の失職          ・・・・・26

子供の卒業・入学        ・・・・・26

会社間でのトラブル       ・・・・・23

生活習慣の変化         ・・・・・18

食事習慣の変化         ・・・・・16

軽い違反行為          ・・・・・11      など

上記はあくまでも、サイモントン氏の患者様データによるものです。数を挙げれば、切りがないほどあります。皆様も日常茶飯事に訪れる出来事ですね。

ここで、注意点として挙げられるのが、「結婚」や「子供の卒業・入学」なども、ストレスに列記されていることです。

「結婚」や「子供の卒業・入学」は、社会的に祝い事であることは言うまでもありません。
しかし、患者様のデータ内では、「ストレス」と捉えられた方々もいらっしゃるということです。

当然、身内の大きな行事は、たとえ祝い事であっても緊張するものですね。
患者様は、その緊張が大きくなりすぎて、返って「ストレス」と感じてしまったようですね。

他にも数々の文献に多くの研究報告がありました。サイモントン氏のデータは、その一端に過ぎません。

つまり、世界中で報告されている数多くの研究報告の結果から言えることは、同じ出来事も、その人その人で、捉え方が違うと、「ストレス」になる場合があるということです。


「ストレス」
と捉えれば、先ほど申し上げましたように、脳の抑制が始まり、ケガや病気が治りにくくなったり、痛みがなかなかとれなくなったりする訳です。だからと言って、まったく悲観することではありません。
むしろ、この研究報告結果から、「逆の行動・言動に転じること」で、つまり「逆の行動・言動を意識して習慣化すること」で、いくらでも治りやすくなるということです。

こんな最高なことはありませんね。

まったく、お金はかからず、ただ自分の目の前に起こる出来事に対する反応を、意識してマイナス評価からプラス評価に変えるだけで、痛みが取れやすくなり、病気が治りやすい状態になるわけですから。
この治りやすい状態を、整えたうえで、当院の治療を受けられたら、今まで以上に良い効果があることは間違いないですね。

「難しい」と思われる人もおられるかもしれませんが、実はそうでもないのです。

「目に見えない」から、そう思われるだけなのです。

このような実験結果があります。

人間の脳に習慣を覚えさせる実験です。

一般人を集めて、日々靴を履くときに右足から履く左足から履くを確認してもらい、一人一人逆のほうから右足から履く人は左足から履く」、左足から履く人は右足から履くというように意識してもらったのです。

結果は、平均して約4週間後には、逆の足から履くことが可能になったのです。
これは、脳の神経回路が、反復して意識していくことで必要な通り道を太くして情報が通りやすく(細胞間の電気信号と脳内ホルモンが出やすく)していったわけです。
しかも、年齢は全く関係なかったのです。ちょうど、子供が自転車に補助輪なしで乗れるようなことと同じです。

以上のことから、当院の治療においても、また他院での内科や泌尿器科などにかかっておられるご病気においても、最大限治療効果を発揮するためには、ご自分の脳の状態をより良い状態にしておくことが、より一層の治療効果を期待することが出きますね。 


まとめ

最後に 「痛み」や「病気」が治りやすい状態にする脳の活用方法を申し上げます。

 

   おこった出来事に対して、自分の捉え方がマイナス評価かプラス評価かを判断する。

   ①がうまくできない時は、一旦傍観する。(客観的にみる)①②共にうまく出来ない時は、しばら くそのことを考えない。

   ①②③共にうまくできない時は、数字を数える(5秒でも良いし、1~2分でも良いし、長い時は5~10分でも良い)

   数えている間は、脳は「数字」に対して、エネルギーを費やしております。その間に、しばらく時間が経ちます。

しばらく経過した後、同じ出来事に目をやった時は、先ほどとは、条件が多少変わってきておりますので、傍観すること(客観的見方)が出来ることが多いようです。そうなると、更にマイナス評価かプラス評価かの判断も出来やすくなります。

まったく同じ出来事であってもマイナス評価すれば、脳は体の機能を抑制し、痛みがなかなか取れませんが、プラス評価にすれば、抑制することなく本来の機能を発揮して、元の状態にもどそうとします。
このように、脳は常に体のバランスを取ろうとしているのです。
そして、人間はこのことを「治る」という言葉で定義しているわけです。


編集後記
「治る」という定義は、非常にあいまいです。
治ったらもう二度となりませんか?」と聞かれる人が良くいらっしゃいます。
ここで、頭の中を空っぽにして単純に捉えてみましょう。

例えば、風邪をひいたとき、多くの方々は、症状が治れば「治った」と判断します。
でも、また、風邪をひきますね。
これは、いったいどういうことでしょうか?

実は、ちょっと視点を変えるだけで分かることでした。

「治る」のほかに「直る」という言葉がありますね。

分かりやすくするために人間は定義付けしたはずなのに、意味を履き違えていたんですね。

品物が壊れた時に、「直る」を用いますね。
しかし、体の場合は、「治る」のほうを用いますね。
「治る」の「治」という字は、”政治”の「治」です。

“政治”とは、「政(まつりごと)」を「治る(コントロール)」をすることなのですね。

よって、本来の日本語の漢字の意味で「治る」とは、病院の画像や数値がどうであれ、「コントロール」できていれば、それは「治」っていることになるのですね。

検査数値は、“ある一日”(更に言えば“ある一瞬”)の数値です。

朝、検査する時と夕方、検査するときとでは、大きく変わっていて当然ですね。
食前食後も、走った後とか緊張した後とか…全て影響しますね。
実は、検査画像もそうなんですよ。

先ほどと同じように、頭の中を空っぽにして、“常識”の視点をゼロにしてみましょうね。

これが、とても大切です。

ご自分の検査画像が、「正常でない状態」が写ったとします。
それをみると、まず“常識”の視点では、「異常な状態」と捉えますね。
そこで、慌てふためくことが多いようです。
しかし、大切なことは「異常な状態」は、どんな経過を辿ってきたのか?』を知ることが重要なのです。

今の状態が経過中のどこに位置するかを把握できれば、どんなケガや病気ですら、全く怖いものは存在しないのです。

「あわてふためく」という不安な行為、意識が、先ほどから申し上げておりますように、脳の機能を抑制してしまい、怖くないものを怖いものにしてしまっているのです。

例えば、悪いものが写っていたとしても、それ以前には、もっと大きかったのが小さくなっている途中段階かもしれません。
正常画像に比べれば、確かに
異常な状態かもしれませんが、回復段階であればまったく心配する必要もないことになります。

このようなことは、日常生活で例を挙げれば、切りがないほど挙げられますね。

皆さん、お体のことは勿論ですが、他のさまざまな事例を挙げてみてください。
そして、経過中のどの位置かを判断してみてください。
この行動そのものが、先ほど述べました脳の活用方法の②傍観すること(客観的見方)になっているわけですね。

これが習慣化出来てくると、自分がいかに周囲の氾濫している情報に流されているかが分かってきます。入ってくる情報を単に信じるのではなく、ご自分で体感し“腑”に落としてから、納得して行動すれば、まず「ストレス」で苦悩する生活から脱却できると私は思います。
        

参考文献

「脳を鍛える」 立花隆著 新潮社

「脳研究の最前線(上)」脳科学総合研究センター 講談社

「脳研究の最前線(下)」脳科学総合研究センター 講談社

「進化しすぎた脳」 池谷裕二著 朝日出版社

「脳に良いことだけをやりなさい」 マーシーシャイモフ著 茂木健一郎訳

「手 大脳を鍛える」 小野三嗣著 玉川選書

「ガンのセルフコントロール」 カ-ル・サイモントンほか著 創元社