あぞう接骨院

第4回「感覚」 Sense

感覚について

平成23年7月7、13、19、22日(待合室にて)

人間の5感には、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚が挙げられます。
細かく言えば、これらは体の表面の感覚(表在感覚と言う)であり、他にも体の深部の感覚もありますが、ここでは表面の感覚(表在感覚)のみ申し上げます。

現在、人間はお猿さんから進化したといわれております。お猿さんは、木の上で生活するようになってから、他の四足動物より肩の動く範囲が広がりました。肩が自由に動き始めると、枝から枝へ飛び移っていけるようになりました。

その際に必要になってくるのは、“遠近感”です。「サルも木から落ちる」という言葉があるのは、いくら名人でも、失敗をすることがあるという意味ですね。それだけ、サルは普段の生活では、木から落ちることはまずありません。“遠近”をしっかり把握できるからです。

 

そのために、他の動物と大きく違うのが、『両目の並列』です。

両目が並行に並んだわけです。地上にいた時は、四方八方の敵から身を守るために視野が広くある必要がありました。

しかし、生活場所が木の上になり天敵が少し減り、また、四足歩行につかっていた前足が手となり、木から木へ移動するときに使うこととなり、今までの四足歩行と違う新しい移動方法に変わりました。

 

この条件が揃った時、お猿さんは、目の前に見える自分の両手(以前は“前足”)を見ながら、使いはじめたのです。

 

視覚情報として、「この手をこうした時に、木の枝が持ちやすいとか、獲物を捕まえやすいとか・・・」色々と考えることが増えてきました。そして、どんどん脳が発達していったのです。

 

人間の日常生活は、ほぼ80%を視覚に頼っていることが分かっております。(因みに、日本猿は、55%と言われております。他の動物は、それ以下です。いるかやこうもり等は、視覚がなくその分、聴覚が優れ、視覚の代わりをしてくれています。)

 

近年、リハビリ時にも、視覚を利用することが多くなっております。

 

ミラー療法(栗本慎一郎氏がご自分の脳梗塞のリハビリ時に行った)も多くの人が活用されております。

 

 

当院では、患者様方で希望される方に行っております。
鏡にうつった自分を見な
がら動かしたり、ビデオで映した自分を見ながら動かしたりして、
脳の中の神経回路を再構築します。
(“そくさい倶楽部”Vol,24参照)


脳科学研究者の池谷裕也氏(コロンビア大学客員教授)が、このようにおっしゃっておられます。

「物体は、私たちの体の外側に存在しているのではなく、脳の内側に存在している。自分で認識している(つもりになっている)外界は、実のところ「真実」とは、ひどくかけ離れている可能性が大いにある」と。

これだけでは、何を言っているのか分かりにくいと思いますので、補足いたします。
脳は、言うまでもなく、人間の行動や意識を統率する最高中枢機関です。
約1000億個もの神経細胞が詰まっていて、それらが、適切な時に、適切な情報処理をすることによって、人間の感覚や行動が引き起こされます。

私たちは、感じたり、考えたり、判断したりしておりますが、それは「私」が行っているというより、『脳という装置』が実行していると言ったほうが的確です。

例えば、今、目の前に本があるとします。
その本に目を通しているとします。本の文字を、目の水晶体レンズを通して、眺めているわけです。光の粒子が、網膜神経細胞に達し、大脳皮質に電気信号を送り、その電気情報に基づいて、脳は文字を認識しております。

つまり、目の前で自分の動きをどんどん見れば、その動きを覚えるのです。
どんどん見て、脳に信号を送ってあげながら、動きを調整していけばいいのです。
誰もが赤ん坊の時に無意識に行い、失敗を繰り返しながら、人間の動きを獲得してきたわけです。


ここで、先ほど申し上げましたミラー療法について少し申し上げます。

もし、痛い側が片側のみであれば、痛くない側をミラー(鏡)を使って映すと、まるで痛い側の手がうまく動いているように見えます。
この姿(映像)をみて脳へ信号を送ってください。(例えば、右側が痛い方は、左側をミラー(鏡)に映して動かし、その姿を脳に覚え込ませるのです。)
脳は、あたかも痛い側が動いているように認識して、その神経回路を太くして使うようになっていきます。よく耳にする“さっかく(錯覚)”です。

痛みのために手足をかばいながら動かしていた方の脳では、正常に動かす部分が使われておりませんでした。
しかし、この“さっかく(錯覚)”を起こしたことで、脳のその部分が再び働き始めるのです。


過去の数々の実験より、運動神経は条件さえ整えば、活動を維持できることが証明されております。(“そくさい倶楽部”Vol.17参照)

 

皆様が「どんなに無謀なことで叶いにくいなあ」と思ったとしても、とにかく運動神経は回復します。その際に必要なことは前向き(プラス評価)で捉えることです。前向き(プラス評価)に捉えることで、脳の抑制が起こらなくなり、正常に働き始めます。(“そくさい倶楽部Vol,8”参照)どんどんこれを習慣化してみてください。
実際には、『脳』は、現代医学の最先端の研究でも、ほとんど分かっておりません。
世界中のどの研究者も「脳は、数%しか使っていない」と言われております。

これは、数十年先より明らかでありましたが、近年、筑波大学教授遺伝子研究の権威、村上和雄氏は、人間の細胞の核に在る遺伝子配列をすべて解読しました。

それにより、次のようにおっしゃっておられます。

「遺伝子は、ふだん約2%しか使っていないが、ある条件が揃った時、残り98%にスイッチが入り働き始める。特に「前向き」「感謝」「喜び」を伴う時に98%のスイッチが入りやすい」と。

とにかく、どんなことも無駄はありません。
「脳」は、しっかりと情報として記憶してくれます。
そして、必要な時にちゃんと引き出してくれます。

「人間は、そのように創られている」と、世界中の学者がおっしゃっておられます。

皆様方も、条件さえ整えてあげれば、必ず良くなるようにできていますので、どんなことがあっても、前向き(プラス評価)に捉え、全てのことを満喫していきましょう。
良いことが山ほど起こりますよ。

 

編集後記

 現在、最先端の技術により、さまざまなことが解明されてきております。しかし、人間の目に映る視点から解釈しようとする場合、細部の専門的な視点も大切ですが、この世のすべては共存共生し、お互いに影響を与えているわけですから、全体を把握する視点が必要となりますね。ここである条件下での人間の視点を考えてみますね。

 あなたの目の前に、ある広大な草原が広がっています。そこに一頭の馬が走っています。この光景より多くの人はいろんなことを思うでしょう。    一般的に、馬の毛並みがいいとか、肉づきがいいとか、瞳がやさしいとか、鼻息が荒いとか・・・。競馬の専門家であれば、後ろ足の蹴り方がいいとか、ストライドが大きいとか・・・。獣医であれば、関節の動く範囲が大きいとか、走行が異常だとか、息づかいから心肺機能低下を疑うとか・・・。気象予報士であれば、空の雲の形や流れから、今後の天候を考えたり・・・。地質調査の専門家であれば、草原の土の色から、この地がどのような地層かなど・・・きりがないですね。

ここで気づくことありませんか?同じ光景を見ても、人それぞれ見るところ、感じるところ、考えることが違うことです。更に、その共通点は、光景を全体的に把握していないということです。

 このことは、現代のどの分野にも言えることなのです。研究心旺盛な人類は、細分化し多くの専門家を創ってきました。そのおかげで多くのことを発見し、研究し、文明を創り、今日の人類の繁栄があります。しかし、逆に細分化しすぎたために見えなくなっていることも数多くあることに気づき始めました。

産業革命以降、資本主義の競争社会で個々が利益追求してきた時代の限界が見えて来ていると数々の方々がおっしゃっておられます。今世界が抱えている多くの問題を乗り切るには、細分化された各分野の優秀な専門家の方々が手を結び、協力し合う必要があるようです。将来の地球、次世代の子孫のためにも、今一度、自分の役割を果たしてほしく思います。

参考文献

ネクストソサエティ 著PFドラッガー(ダイヤモンド社)

松下幸之助に学ぶ人生論 著 飯田史彦 (PHP出版) 

生きる術 著ベンジャミンクレーム (シェア・ジャパン出版)

脳研究の最前線 上 著 脳科学総合研究センター (BLUE  BACKS

脳研究の最前線 下 著 脳科学総合研究センター (BLUE  BACKS

記憶力を強くする 著 池谷裕二 (講談社)