あぞう接骨院

第5回「姿勢」 Posture

姿勢について

平成23年8月9,11,24,26(待合室にて)

日々、過ごされておられる生活の中で、無意識にいろんな姿勢をしております。お仕事での同一姿勢、ケガなどによる痛いところをかばった姿勢、年齢からくる姿勢の変化など。また、何気ない日常生活のなかでとっている姿勢も実は、かたよったクセがあります。
人間は生まれてから立って歩くまでに、自然条件下では、ちゃんとハイハイをします。実は、そのハイハイ時期に骨盤から股関節などの立って歩く時の大切な土台(関節と筋肉の安定性)が作られます。(近年は、文明の発展により、自然条件が揃わず、ハイハイをせずに立つ子供もいます。)大切なハイハイ時期を終了し、つかまり立ちから、大人の正常歩行までにも、色々な歩行の経過を辿ります。(この件についての詳細は後日にいたします。)このハイハイの姿勢は、ご存知の通り「四つ(は)い」ですね。つまり、四足歩行の動物の姿勢です。赤ん坊のように筋力が弱くてもできる動きがこのハイハイなのです。例えば、腰を傷め、立てない位に痛い場合、(は)って歩きますね。人間は、痛いところがあると、自然に負担の少ない姿勢をとることにより、痛みをかばっているのですね。姿勢に影響を与える最も大きな原因は、「筋肉」です。「筋肉」の収縮が強く、伸びにくくなったときに姿勢が偏ってきます。(他に、関節の原因なども考えられます)岐阜大学の本部千博教授は、次のようにおっしゃっておられます。「7080歳で腰が「く」の字に曲がったご老人が、別の内臓の病気で手術することになりました。全身麻酔をしたとたん、全身の筋肉の縮みがゆるみ、腰がまっすぐになったのです。」と。このことより、姿勢にはいかに「筋肉」の影響が大きいことが分かります。つまり、普段は無意識に「筋肉」に力が入って縮んでいるということです。この筋肉(今の場合は、姿勢に関する筋肉のみ)は、さまざまな場所に在り、色々な姿勢をとることにより痛みをかばってくれています。では次に、筋肉が骨盤へ与える影響の一つとして起こる骨盤の“傾き”をご説明いたします。上図は、いろいろな骨盤の“傾き”を表してあります。骨盤は体の土台になりますが、“傾き”があります。(実際には、前後回転・左右開閉・上下離開の三方向で考えますが、ここでは大まかに“傾き”と申し上げます。その傾きは、人それぞれ違います。
主に①一人一人の幼児期の歩行開始時の条件②その後成長するにつれて正常歩行に近づくにつれて伴った条件重なり、さまざまな方向の“傾き”ができます。言い換えれば“クセ”のことですね。痛みのない一般の方々でも、“右利き”“左利き”のように“クセ”は必ずあります。その“クセ”は無意識にしている場合がほとんどです。人間は、崩れた傾きを常に無意識に“クセ”によってバランスを取っているのです。しかし、その“クセ”が、あまりにも偏ってしまった場合、「痛み」というサインによって教えてくれるのです。当院では、先ほど申し上げました条件①条件②を見つけ、治療者側からの手助けで、「痛み」の出ない方向へ誘導させて頂いております。さらに、この治療効果を大きくするためには、治療者側からだけでなく、患者様側での体のコントロールが必要になってきます。コントロール方法はいくつもあります。いくつかを挙げておきます。無理なくされて、治療効果を最大限発揮して頂きたく思います。
患者様側での体のコントロール方法

①“クセ”の動作を見つけて、それを行わない。または、上下左右、“クセ”と逆方向に動作を意識して行う。

   縮み過ぎている筋肉を伸ばす習慣をつける。(方法は治療者から指導いたします。)

   不足している筋力を少しずつ補う。(方法は治療者から指導いたします。)

他にも、さまざまな方法があります。必要に応じて、指導させて頂いております。



編集後記

今回は「姿勢」について、申し上げました。現代は文明の恩恵を受けて、人間にとても便利な社会が出来ております。
しかし、反対に多くの物を失っています。
例えば、車社会となり、昔ほど歩かなくなりました。そのために、とても体力が落ちてきました。パソコンを主体とした情報化社会により、肉体労働が減り、体を動かさなくなりました。数えるときりがないくらいあります。
物事の良し悪しは、人間の定義ですが、「良い」ことは感謝し、「悪い」ことには、反省し対策を練って改善していきたいものですね。
2011
年、日本人の女性の平均寿命が前年より短くなりました。このことは何を意味しているでしょうか?
実は、今後平均寿命がみじかくなっていくことを意味しているのです。昔、「成人病」と言われた病気は、現在「生活習慣病」と名を変えて、どんどん増え続けております。名を変える必要があったのは、低年齢化して成人でない世代も病気になり始めたからです。昔は、ご高齢の方の病気だったものが、若い世代にも広まっているということは、単純明快です。
どんどんと体力や免疫力が落ち続けているということです。
学校の体力調査でも、1971年以降、確実に落ち続けております。日本は、世界有数の長寿国といわれてきました。それは、貧しい時代の和食かつ粗食、厳しい農作業をされて身についてきた体力が、日本人の体を強靭な体にしてくれていたのですね。ここで、不思議に思われた方も多いでしょう。和食が体に良いことは、分かっていらっしゃる方も多いと思われます。便利な世の中で運動不足になっていることも分かりますね。
不思議なのは「粗食」です。
これも、単純明快でした。畑をされていらっしゃる方は、ご存知ですが、野菜に肥料を与えすぎると、茎や葉が太く大きくなりますが、花が咲きにくく、実がなりにくいのです。
つまり、自然が「豊富な栄養があるので、そんなに子孫を残さないでも良い」と判断するのです。
逆に言いかえれば、自然は「少し飢えているくらい」のほうが、子孫を残しやすいのです。
実は、人間も同じです。現代の少子化の原因には、政治的な面なども多くからんでおりますが、この「食べ過ぎ(栄養過多)」も、生殖機能の低下の原因の一つになっております。
更に「食べ過ぎ」から、体重増加で運動不足にも繋がります。
現在の平均寿命は、戦後の貧しい時代に成長期を過ごされた今のご高齢の方々のお蔭です。戦後60年、急速に欧米の文化を取り入れて、日本人の生活習慣、食文化は変化してきました。大切な体をつくる幼少期~成人までの生活が、昔とは大きく違っております。多くの専門家は、急速に寿命が落ちてくることを予測しております。予兆として、“無縁仏”が多くなってきています。特に沖縄県では著名です。(待合室「美健社」小冊子参照
とにかく、現代の情報があふれているこの世の中で、どれが正しいかどうか判断しかねると思います。
正しい判断をするためには、日々の“常識”をひとまず横に置いて、目の前のことが「自然か不自然か」を判断してみるとよいでしょう。
例えば、「歩く動作」「車運転」「自転車」「デスクワーク」など。どうでしょう?「歩く動作」以外は、全て人間の文明により出来た行為です。確かに、そのおかげで今がありますが、逆に現在の多くの問題も、またその文明により発生しているのです。新しい視点で、自分たちの日常生活をもう一度見直し、少しでも自然な行為の時間を増やしていきたいですね。そうすることで、当然「痛み」の原因は消えていきますし、他に多くの発見もあることでしょう。

参考文献

「脳研究の最前線(上)」脳科学総合研究センター 講談社

「脳研究の最前線(下)」脳科学総合研究センター 講談社

「日本の長寿村、短命村」近藤正二 サンロード出版